詩の認識 [否定、ネガティブの後]
「小諸なる古城のほとり」
これは有名な島崎藤村の詩である。
否定の文と「わずか」などネガティブ用語で全体を通す。
結論は、酒を飲んで休んでいる。
藤村自身、悲観的なものの見方をしていないのに、
否定とネガティブの中に、「わずかある」と希望を抱かせるところに、
この詩を読んだ昔には、苛立ちとセンチメンタルの拒否をもった。
再読すると、今は、落語の巧みな話芸を聞いているようである。
現実の姿は厳しい。といっても、詩を吟じる心と懐の余裕がある点で
論理的な矛盾を見出したり、何を強く望んでいるのか、それを言わない。
それが長野県(岐阜県)人の奥ゆかしさであろうか?
馬籠を歩いて、藤村の時代の景色を想像する。
綺麗なものではない。作者の仮想の世界である。
それなら、同じ技法で、その時、その場所に、自分を置いて、
第三者となって、自分を含む景色を表現しよう。
すなわち、想像している自分を想像してみよう。
自分の中の太陽に気付くであろう。
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「小諸なる古城のほとり」 -落梅集より-
島崎藤村
小諸なる古城のほとり 雲白く遊子(ゆうし)悲しむ
緑なすはこべは萌えず 若草も籍(し)くによしなし
しろがねの衾(ふすま)の岡辺(おかべ) 日に溶けて淡雪流る
あたゝかき光はあれど 野に満つる香(かおり)も知らず
浅くのみ春は霞みて 麦の色わずかに青し
旅人の群はいくつか 畠中の道を急ぎぬ
暮行けば浅間も見えず 歌哀し佐久の草笛(歌哀し)
千曲川いざよう波の 岸近き宿にのぼりつ
濁(にご)り酒濁れる飲みて 草枕しばし慰む
これは有名な島崎藤村の詩である。
否定の文と「わずか」などネガティブ用語で全体を通す。
結論は、酒を飲んで休んでいる。
藤村自身、悲観的なものの見方をしていないのに、
否定とネガティブの中に、「わずかある」と希望を抱かせるところに、
この詩を読んだ昔には、苛立ちとセンチメンタルの拒否をもった。
再読すると、今は、落語の巧みな話芸を聞いているようである。
現実の姿は厳しい。といっても、詩を吟じる心と懐の余裕がある点で
論理的な矛盾を見出したり、何を強く望んでいるのか、それを言わない。
それが長野県(岐阜県)人の奥ゆかしさであろうか?
馬籠を歩いて、藤村の時代の景色を想像する。
綺麗なものではない。作者の仮想の世界である。
それなら、同じ技法で、その時、その場所に、自分を置いて、
第三者となって、自分を含む景色を表現しよう。
すなわち、想像している自分を想像してみよう。
自分の中の太陽に気付くであろう。
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「小諸なる古城のほとり」 -落梅集より-
島崎藤村
小諸なる古城のほとり 雲白く遊子(ゆうし)悲しむ
緑なすはこべは萌えず 若草も籍(し)くによしなし
しろがねの衾(ふすま)の岡辺(おかべ) 日に溶けて淡雪流る
あたゝかき光はあれど 野に満つる香(かおり)も知らず
浅くのみ春は霞みて 麦の色わずかに青し
旅人の群はいくつか 畠中の道を急ぎぬ
暮行けば浅間も見えず 歌哀し佐久の草笛(歌哀し)
千曲川いざよう波の 岸近き宿にのぼりつ
濁(にご)り酒濁れる飲みて 草枕しばし慰む