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詩の認識 [否定、ネガティブの後]

「小諸なる古城のほとり」
これは有名な島崎藤村の詩である。

否定の文と「わずか」などネガティブ用語で全体を通す。
結論は、酒を飲んで休んでいる。

藤村自身、悲観的なものの見方をしていないのに、
否定とネガティブの中に、「わずかある」と希望を抱かせるところに、
この詩を読んだ昔には、苛立ちとセンチメンタルの拒否をもった。
再読すると、今は、落語の巧みな話芸を聞いているようである。

現実の姿は厳しい。といっても、詩を吟じる心と懐の余裕がある点で
論理的な矛盾を見出したり、何を強く望んでいるのか、それを言わない。
それが長野県(岐阜県)人の奥ゆかしさであろうか?

馬籠を歩いて、藤村の時代の景色を想像する。
綺麗なものではない。作者の仮想の世界である。

それなら、同じ技法で、その時、その場所に、自分を置いて、
第三者となって、自分を含む景色を表現しよう。

すなわち、想像している自分を想像してみよう。
自分の中の太陽に気付くであろう。

PICT0062.JPG

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「小諸なる古城のほとり」  -落梅集より-
                             島崎藤村

小諸なる古城のほとり          雲白く遊子(ゆうし)悲しむ
緑なすはこべは萌えず          若草も籍(し)くによしなし
しろがねの衾(ふすま)の岡辺(おかべ) 日に溶けて淡雪流る

あたゝかき光はあれど          野に満つる香(かおり)も知らず
浅くのみ春は霞みて           麦の色わずかに青し
旅人の群はいくつか           畠中の道を急ぎぬ

暮行けば浅間も見えず          歌哀し佐久の草笛(歌哀し)
千曲川いざよう波の           岸近き宿にのぼりつ
濁(にご)り酒濁れる飲みて       草枕しばし慰む




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